【短編】君を想う
図書館の人
放課後、特に部活動をしていない俺は、図書館へ向かった。
図書館は朝、千鶴たちと別れる駅の近くにある。
千鶴はサッカー部のマネージャーをしているらしく、家へ来るのは夕方過ぎになるだろうから。
どうせなら、智明がいるバスケ部のマネージャーをやればいいのに、と高校に入学した当初は思っていたのだが。
千鶴には千鶴の思うところがあるのだろう。
智明は、バスケット選手としては有能らしく、強豪校からの誘いがあった。
でもそれを蹴って千鶴と同じ高校に進んだのは、多分、千鶴のそばにいたかったから。
そんなに強くないらしい高校で、適当に部活動をしているようだった。
自分から距離を置いた中学時代が辛かったのか、それは本人にしかわからないけど。
同じ気持ちでいるはずの2人なのに、と思うと見ているこっちはもどかしくてしょうがない。
千鶴が自分の彼女になってくれたら、って思いもないわけじゃないし、俺なりに幸せにしたいと思ってる。
だけどお互いに同じ気持ちなんだから、2人で幸せになってほしいとも思う。
……って、俺、オヤジみたいだな。