【短編】君を想う
夕方までに今日の復習と明日の予習、出された課題をやってしまおうと思った。
家でもいいけど、俺は図書館が好きだった。
本に囲まれていると、不思議と落ち着くような気がする。
静かな空間の中、周りのペンを走らせる音が集中力を呼ぶ気がするんだ。
勉強室の入口から中を見ると、今日はあまり人がいないようだったから窓際の席に座って教科書とノートを広げた。
復習と予習が終わったところで壁にかかっている時計を見上げた。
4時か。
俺は気分転換に本を物色することにした。
昔からジャンルを問わず、本を読むことは好きだった。
とりあえず何でもかじってみれば、知識が広がると思っているフシがあるからだ。
勉強室から少し離れた、ほとんど人のいない物理関係の書架を散策してみることにした。
建物自体は古いが、規模の大きいこの図書館は蔵書も多い。
他ではお目にかかれない本の数々に、目移りしながら足を進めていたら、
ドンッ!
何かにぶつかってしまった。
次に聞こえてきたのは本がバサバサと落ちる音。
「だ、大丈夫ですかっ!?」