粉雪2-sleeping beauty-
「…マジで、スンマセン。」


まるで怒られた子供の様に、小さく呟いた。


だけどバツが悪くて、咥え煙草のまま、天井を仰ぎ続ける。



『…どーせ、みんなに怒鳴り散らしたんでしょ?
ダメだよ、そーゆーの。』


何も言えない俺に、千里は言葉を続ける。


『…マツの悪い癖だよ。
すぐに頭に血が昇っちゃって…。』


困ったように笑いながら、俺の横に腰掛けた。



「…何であいつら、問題ばっか起こすんだろうな…。」


『…話聞いてあげたの?
怒るだけじゃ、何も解決にならないよ?』


上目遣いで顔を覗き込んでくる千里から、目線を外した。



“社長って、ママの言うことなら素直に聞くんすよね”


いつだったか、真鍋に言われた台詞を思い出した。


多分、俺はホントにそうなんだと思う。



千里と話していると、自然と落ち着くんだ。


優しい口調で、優しい笑顔で…。


千里の所為で変わったのは、隼人さんだけじゃないらしい。


自分でもわかるほど、俺も変わったと思う。



「…で?
お前がデッキ壊したんだっけ?」


少しだけ笑い、話を変えた。



『そうだよ、ソレだよ!!
てゆーか、あたしが壊したんじゃなくて、元から壊れてたの!!』


思い出したように、千里は俺の服を引っ張った。


その瞬間、急に子供みたいな顔に変わる。


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