粉雪2-sleeping beauty-
「―――で?
どこが壊れてるって?」


俺が操作すると、当たり前の様にDVDが再生された。


それを確認し、眉をしかめて千里に聞いた。



『だって、あたしがやった時には、動かなかったんだよ?』


「…ソレ、違うボタンでも押したんじゃねぇの?」


むくれる千里に、少しだけ笑った。



『もぉ良いじゃん!
動いたんだし!』


口を尖らせ、フンッ!と言って、そっぽを向いてしまった。


そんな光景に、噴き出しそうになる。



こんな何気ない日常を、何故大切にしなかったんだろう。


幸せは、いつも失ってから気付くんだ。


お前はあの時、どんな想いで俺の誕生日を祝っていたのだろう?


本当に、心から祝っていたのだろうか?



あの頃のお前は、長い冬を抜けて、少しだけ元気になっていた。


喧嘩になっても泣くこともなく、俺のことを考える余裕があったように見えたんだ。


だから、安心してた。



「…つーか、何のビデオ借りたんだよ?」


『シュレックってやつ。
何か、面白いらしいの!』


「…ふ~ん。」



…俺的には、お前の方が面白いんだけど…。


言おうとしたが、やめといた。


また怒られそうだったから。



『何~?』


「…何でもねぇよ。
つーか、食おうぜ。」



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