粉雪2-sleeping beauty-
今日も相変わらずの雨。


ついでに言えば、明日も明後日も雨の予報だ。


いい加減、俺でも憂鬱になる。


太陽の光が差し込まずに眠れるから喜んでいたのも、最初の数日だけだった。



同じように雨が嫌いらしい千里も、洗濯物がどーの、髪の毛がどーのと、

毎日ブリブリ言っている。


俺的には、そんなの俺に言われても困るって話だ。



…てゆーかアイツ、何で突然うちに来るんだろう…?


いや、今に始まったことでもないけど…。



その辺で、俺の思考は停止した。


吸い込まれるように、眠りに落ちる。


この瞬間が、堪らなく気持ち良い―――…







『―――マツ!
起きる時間だよー!!』


ゆっくりと、引き戻されるように声が近づく。


鼻につくのはいつも、スカルプチャーの香り。


そして夢と現実の境界線を見るように、目を覚ます。



『起きた?』


「…起きた。」



いい加減、この顔のアップにも慣れた。


“美人もブスも、3日で慣れる”ってのは、あながち嘘ではないらしい。


それくらい、最近の千里はよくうちに来る。



「…帰ってなかったのかよ。」


『テレビ観てた。』


起き上がる俺に合わせたように、千里は再びリビングにきびすを返した。



「…自分ちで観ろよ。」


『電気代節約~♪』



何だ、ソレ。


まだ上手く働かない頭で、突っ込みを入れるのが精一杯だ。


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