粉雪2-sleeping beauty-
―カラン!…

『―マツさん、いらっしゃい♪』


一番に、ルミが駆け寄ってきた。



『何~?新しい顔だ!
ルミです!こちらどーぞ♪』


俺の後ろの従業員を見つけたルミは、笑顔を向けて奥のソファーに通した。


最近入った従業員は、少し照れたように通された席に着く。


チラッと目が合った千里は、相手をしていた客から逃げるように俺のところに来た。



『マツ~!
わっざわざ来てくれたんだ~♪』


「…まだ怒ってたのかよ。」


ため息をつき、いつもの席ではなく、従業員の横に腰を下ろした。



『新しい子入ったんだね!』


俺の言葉をサラリと無視した千里は、従業員に笑顔を向けた。


『はじめまして。
ゆっくりしてってくださいね♪』


そう言って、おしぼりを差し出す。


それを受け取る従業員の顔は、心なしか鼻の下が伸びているようにも感じられる。



『…マツ、ビールにしとく?』


「あぁ。
つーか、こいつらは水道水で十分だから。」


煙草を咥え、馬鹿丸出しの顔を睨み付けた。



『社長!
そりゃないっすよ~!』


『そーっすよ!
せめて、六甲の美味しい水とかにしてください!』


「…馬鹿だろ、お前。」


ギャグのつもりなのだろうが、全然笑えない。


そんな従業員達に愛想良く笑顔を見せた千里は、再びカウンターに戻った。



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