粉雪2-sleeping beauty-
清水と岩本は、共にハタチで、最近俺の会社に入った。


風俗の経験さえないらしく、“スナック行くか?”なんて言っただけで、

飛び上って喜んでいた。



『真鍋さんが言ってた通り、マジで美人っすね!』


清水が言う。



『俺、ビビビッと来ましたもん!』


岩本も言う。



『それ、古くないですか~?(笑)』


ルミが合わせた様に笑う。


そんな光景に、ため息ばかりをつく俺。



千里を見ると、一人の客に掴まっている様に見える。


さすがの千里の笑顔も、誰が見てもわかるほど、引き攣っていた。



『…アレ、谷口さんだよ。』


そんな俺に気付いたのか、ルミが小声で耳打ちしてきた。



「…谷口?」


『気になる?』


クスッと笑ったルミは、俺の返事も聞かずに言葉を続けた。


『ママ一筋ってカンジ?
ルミが接客行っても、無視だからね~!』


梅酒を口に含みながら、ルミは渋い顔を見せた。


『何か、口説いちゃってるし、マツさんもウカウカしてたらヤバいんじゃない?(笑)』


『―――社長!
内緒話しないでくださいよ!!』


不貞腐れたように、清水は声を上げた。



『ごめんね~!
てゆーか、“二人共格好良いね!”って話してたんだよ!』


そんな清水の言葉を、ルミは笑って流した。


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