粉雪2-sleeping beauty-
…あぁ、もぉ…


何でコイツは、いつも強がるんだろう…。


言ってやりたいたいことなんて、山ほどあった。


だけど、その全てを押し殺し、ゆっくりと口を開いた。



「…お前の顔が、見たいんだよ…。」


『―――ッ!』


そのまま、千里は押し黙ってしまった。



「…無視かよ…。」


ポツリと呟き、諦めて煙草を咥えた。


火をつけて吸い込んだ煙を、ため息と共に吐き出す。


何度目か繰り返した時、やっと千里は口を開いた。



『…トッポ…買ってくれる…?』



…何だ、ソレ…。


噴き出しそうになるのを押さえ、少しだけ笑った。



「…何個でも買っといてやるから…。」


『…わかったよ…。
ロールキャベツだね…。』


その言葉を聞き、少し安心して電話を切った。



本当に、世話が焼ける女だ…。


つーか、子供かよ…。


思い出し、また少しだけ笑った。



帰り道、コンビニに寄った。


トッポ5つも買って、俺は店員にどんな目で見られていたのだろう。


だけど、こんなんで機嫌が直るなら、安いと思わなきゃいけないのかもしれない。



…俺、いつの間に女の機嫌とか取るようになったんだろう…。


やっぱりそれは、全部千里が悪いんだと思う。

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