粉雪2-sleeping beauty-
『…ママ、話せる?
何なら、代わりにルミが―――』
『大丈夫だよ、ルミちゃん。』
不安そうに見つめるルミに、千里は優しく笑い掛けた。
その横を連行される谷口の瞳からは、絶望さえ映し出しているように見えた。
『…仕事だからね。』
ポツリと呟いた言葉は多分、谷口にも聞こえていたのだろう。
『…ママは…僕を愛してると思ってたのに…。』
足を止めた谷口は、声を絞った。
『…悪いけど、あたしはアンタなんか愛してないよ。』
クスッと笑った千里は、言葉を続けた。
『あたしの為に人殺しして、あたしの為に死んでくれるような男なら、ちょっとは考えてあげるけど?』
『ホラ、行くぞ!!』
再び連行されていく谷口から目線を外し、千里を見つめた。
さっき谷口に言った台詞は、俺が言われているようにさえ感じた。
俺は千里の為に人を殺すことも、身代わりになって死ぬことも、
“出来る?”と聞かれれば、答えに困ってしまう。
だけど俺は願わくば、あの人とは違う形で愛してやりたい。
『あれくらい言えば、もぉあたしのことなんて狙わないでしょ~!(笑)』
千里は俺に向かって、おどけたように笑った。
どこまで本心かなんて、何も分からない。
いつもいつも、千里は嘘の笑顔と嘘の言葉で、自分自身を固めているから。
その度に、胸が締め付けられる。
「…本性を知らないって、怖ぇな。
お前なんて、ホントは性格悪いのにな!(笑)」
『あははっ!ホント、ソレ!!』
歯を見せて笑った俺に、千里も笑った。
何なら、代わりにルミが―――』
『大丈夫だよ、ルミちゃん。』
不安そうに見つめるルミに、千里は優しく笑い掛けた。
その横を連行される谷口の瞳からは、絶望さえ映し出しているように見えた。
『…仕事だからね。』
ポツリと呟いた言葉は多分、谷口にも聞こえていたのだろう。
『…ママは…僕を愛してると思ってたのに…。』
足を止めた谷口は、声を絞った。
『…悪いけど、あたしはアンタなんか愛してないよ。』
クスッと笑った千里は、言葉を続けた。
『あたしの為に人殺しして、あたしの為に死んでくれるような男なら、ちょっとは考えてあげるけど?』
『ホラ、行くぞ!!』
再び連行されていく谷口から目線を外し、千里を見つめた。
さっき谷口に言った台詞は、俺が言われているようにさえ感じた。
俺は千里の為に人を殺すことも、身代わりになって死ぬことも、
“出来る?”と聞かれれば、答えに困ってしまう。
だけど俺は願わくば、あの人とは違う形で愛してやりたい。
『あれくらい言えば、もぉあたしのことなんて狙わないでしょ~!(笑)』
千里は俺に向かって、おどけたように笑った。
どこまで本心かなんて、何も分からない。
いつもいつも、千里は嘘の笑顔と嘘の言葉で、自分自身を固めているから。
その度に、胸が締め付けられる。
「…本性を知らないって、怖ぇな。
お前なんて、ホントは性格悪いのにな!(笑)」
『あははっ!ホント、ソレ!!』
歯を見せて笑った俺に、千里も笑った。