粉雪2-sleeping beauty-
それから俺も、人夫出しの仕事を始めた。


簡単に言えば、建設業の派遣会社みたいなモンだ。


建設業なんてのは、慢性的に人手不足だから、仕事はいくらでもある。


いかに人間を見付け出すかだけだ。




それからの俺は、千里の店が終わる少し前に顔出して、店が終わった後に一緒に飲む。


真夜中に帰って書類片付けて、朝になったら従業員の出勤を確認する。


それが終わったら夕方まで寝て、従業員達が帰ってくる前に起きる。


そんで日報受け取って、千里と早めに飯を食いに行く。


それから日報の整理して、終わった頃に千里の店に顔を出す。



まぁ、こんな風に忙しく過ごしてた。





「…お前、毎日銀行行ってるんだろ?
だったらついでに、うちの会社の分もやっといてくれよ。」


『ハァ?!何であたしがそんなことまでしなきゃいけないの?
自分ですれば?』



予想通り、怒られた。



「…それから、俺の部屋の掃除もしといてくれよ。
頼んだからな!」


『あたしはアンタの家政婦じゃない!』


怒鳴って電話が切れた。



別に自分でやれば良かったんだけど、とにかくお前に忙しく働いてて欲しかった。


他の事を考える余裕もないほど働いてれば、少しは楽になれると思ったんだ。


お前は俺のこと、“掃除が嫌いな男”とか思い込んでたかもしれないけど、

わざと汚してただけなんだぞ?


何だかんだ言っても、お前はやってくれたもんな。



たまに千里の仕事の愚痴なんか聞いてりしてさ。


まぁそれなりに、楽しかったよ。


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