粉雪2-sleeping beauty-
『―――カンちゃん?!』


『メグミ?!
マジで久しぶりじゃね?!』


そんな声に、ゆっくりと振り返った。


見るとそこには、うちの従業員の岸本と知らない女が、

久しぶりの再会っぽいことをしていた。


興味もなく、グラスに口をつけたまま、視線を並べられている焼き鳥へと戻した。



『社長!!』


「…何だよ、うるせぇ。」


そんな岸本に呼ばれ、眉をしかめて顔を上げた。



『コイツ、俺の中学時の同級生なんすけど、女ばっかで来てるらしいんすよ!』


「…で?」


『ついでだし、一緒に飲んじゃいましょうよ!!』


煙草を咥えた俺に、岸本は鼻息荒く捲くし立てる。


後ろに居る女の一人は、笑顔で俺に向けて会釈をしていた。



「…お前、状況考えろよ。
今、会社の飲み会してんだぞ?」


『まぁまぁ、社長!
良いじゃないっすか、女っ気がある方が!』


仲裁役の真鍋が、俺をなだめる様に割って入った。



「…ったく…。
俺は、女の分まで出さねぇからな!」


ため息をついた俺とは対照的に、瞬間、他の従業員達の歓喜の声が上がる。



『じゃあ、みんな!
適当に座って~!!』


ニヤついた顔の岸本は、女達を席へと通した。


元々狭い座席は、女達が入ってきたことで、もっと狭くなった。


従業員達の女達に対する動きは機敏で、

仕事なんかよりもよっぽどテキパキしているようにも見える。


< 141 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop