粉雪2-sleeping beauty-
―ガチャ…

「―――っわ!
…お前、ストーカーかよ…。」


トイレから出ると、真鍋がドアの前で煙草を吹かしていた。



『…いやいや、盛り上がってるし、オッサンは逃げてきました(笑)』


真鍋は、煙草でヒートアップしている従業員達の座敷を指し、ケラケラと笑う。


少し呆れたように、それを見ながら俺も煙草を咥えた。



『…まぁ、たまにはこーゆーのも良いでしょ。
あいつら、普段は女っ気ないトコで頑張ってますからね。』


「…そりゃそーだけど、少しは金払うヤツのことも考えて欲しいよ。」


眉を上げて笑う真鍋に、ため息をついた。


学生気分の、コンパのようなノリは、本当に苦手だ。


俺は、そんな楽しいだけの学生時代なんて、経験すらない。



『…まぁでも、社長はあーゆーの、苦手そうですもんね。』


「わかってんだったら何で、招き入れるようなこと言うかねぇ。」


煙を吐き出し、トイレのドアの前にあった灰皿に押し当てた。


同じように、真鍋も短くなった煙草を押し当てる。






『―――ちょっと…!
やめてください!!』


声に振り返ると、男女が争っているようだ。


と、言うよりも、女が絡まれているようにも見える。



『…あれって、俺の隣に座ってた子じゃないっすか?』


「…そーだっけ?」


大して顔も見ていなかったため、俺は首をかしげた。



『…てゆーか、助けてあげた方が良くないっすか?』


言いながら、真鍋は俺の背中を押した。



「…何で、俺なんだよ?」


『俺、平和主義者っすから!(笑)』



だったら、お前が行けよ!


ため息をつき、男女の元に足を進めた。


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