粉雪2-sleeping beauty-
「…何やってんの?」


『社長さん?!』


後ろから声を掛けると、先ほどの女が目を丸くしていた。



『誰だよ、お前は?!』


女の腕を掴みながら、赤い顔の男が声を上げた。



「…お前こそ誰だよ。
どーでも良いけど、誰にモノ言ってるかわかってんのか?
明日にはお前、海の中だぞ?」


『―――ッ!』


一睨み利かせると、急に男は青い顔に変わった。



「…困るんだよな、この辺りでそーゆーことされると。
俺だったから良いようなものの…。」


『ス、スンマセン!!』


ドレッドヘアを振り乱し、男は逃げるように走り去った。



てゆーか、ハッタリだっつーの。


呆れ半分でその姿を見つめながら、視線を女へと戻した。



「…アンタ、大丈夫?」


『あのっ!ありがとうございます!!』


深々と頭を下げえられた。



『…いやぁ、さすが社長っすね!(笑)』


後ろで傍観していた真鍋は、拍手をしながらこちらに足を進めた。



「お前さぁ、何でそんなに調子が良いんだよ?!」


深いため息をつきながら、真鍋を睨み付けた。



『てゆーか、彼女!
大丈夫だった??』


俺の言葉を無視したように、真鍋は女の顔を覗き込むようにして俺から視線を外した。



『…ハイ…。』


女は酒の所為なのか少し顔を赤らめながら、小さく呟いた。


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