粉雪2-sleeping beauty-
「…別に、取って喰おうなんて思ってねぇよ。
俺もちょうど、一旦戻らなきゃいけない用事あるし、ついでだよ。」


『そうそう!(笑)』


適当に言った言葉に、真鍋も相槌を打つ。



『…じゃあ、お願いします…。』


少し困ったように頭を下げられ、

横目に真鍋を見ると、笑いを堪えるのに必死そうな顔をしていた。


多分コイツはまだ、くっつける作戦とやらの続きをしているらしい。



「…じゃあ、後は頼んだぞ。」


『了解っす!!』


笑顔で見送られ、出入り口に足を進めた。


その少し後ろを、戸惑いがちに女が着いてくる。







―ガチャ…

「…乗れば?」


『あっ、ハイ!』


乗り込んだ女を確認し、エンジンを掛けた。



『…ホントに、スイマセン…。』


「…良いよ、別に。
体調悪いんだろ?
気ぃ使う必要ねぇから。」


少し窓を開け、煙草を捨ててシフトをドライブに入れた。


女の家は、少しだけ遠いらしい。


住所を聞くと、安請け合いしたことにため息をついた。




『…あのっ、GLAY好きなんですか?』


「あぁ、コレ?
俺のじゃねぇから、わかんねぇ。
勝手に載せられるんだよ…。」


オーディオから流れているのは、千里が勝手に載せているCDだ。


換えるのが面倒だから、流し続けているだけのもの。



『…そう…ですか。』


それっきり俯く女に、俺も声を掛けることはなかった。


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