粉雪2-sleeping beauty-
『…スイマセン…。
幸成さんだったら、彼女くらい居ますもんね…。』


「…そーゆーことだから。」


『―――ッ!』


そのまま、佐和は車から降りた。



―バタン!…

「…じゃあな。」


『ありがとうございました。』


頭を下げた佐和を確認し、再び車を走らせた。



とにかく、気分が悪くて仕方がない。


この違和感は、一体何なんだろう…。


佐和はまるで、ぬるま湯だ。


…俺は、こんな世界を知らない…。




携帯を取り出し、千里の名前を表示させて通話ボタンを押した。



―プルルルル、プルルルル…

『ハイ~?』


いつも通りの声に、少しだけ安心する自分が居る。



「…元気?」


『…何言ってんの?
アンタ、頭でも打った?』



こんな他愛もない会話が、どうしてこうも俺を嬉しくさせるんだろう。


そんなことだけで、不安が取り除かれそうになる。



「…暇してんだろ?
店行ってやるよ。」


『…何かマツ、おかしくない?
先に病院行けば?』


その言葉に笑いを堪えながら、適当に会話をして電話を切った。


相変わらずの憎まれ口も、何も気にならない。



< 151 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop