粉雪2-sleeping beauty-
go wrong
―――くっつくのは難しいのに、どうしてこう離れるのは簡単なんだろう。


お前は隼人さんと“離れられなかった”って言ってたけど、

俺らが離れていくのは結構簡単だったよな。


もしかしたら初めから、俺達の糸は繋がっていなかったのかもしれない。


ただ偶然、絡まってしまっただけだったのかもしれないな…。





あれから、どんどん暑くなっていく。


蝉の声はうるさいし、テレビをつければ知りたくもない天気の情報ばかりを流される。


なのに、俺達は何も変わらなかった。




『―――マツ!
水遊びしたい!!』


「…ハァ?」


『…だって、暑いんだもん。』


口を尖らせた千里が、アイスを食べながら上目遣いで見上げてきた。


相変わらず、こんな調子だ。



「…また今度な。」


『つまんないの~。』


むくれている千里を残し、寝室に逃げた。


バタンと閉めたドアに、篭る熱気が俺の体に纏わりつくのを感じる。




♪~♪~♪

突然、携帯が鳴った。


ディスプレイを見ると、知らない番号に不審に思いながら、通話ボタンを押した。



―ピッ…

「…ハイ?」


『―――あのっ!
先日はどうも!!
…佐和…です…。』



佐和って誰だっけ…?


首をかしげながら、考えを巡らせた。


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