粉雪2-sleeping beauty-
intertwine
帰り道、千里は先ほどの話には触れようとしなかった。
だから俺も、何も聞かなかった。
15分間の重苦しい時間は、今思えば、お互いの胸を締め付けていたんだろう。
“やっぱり隼人が好き”
そんな風に言われるんだと思ってたんだ。
だけど、そんなことを考えていたのは俺だけだった。
千里の身には、もっと大きなことが降りかかっていた。
細い体で、細い腕で…
お前はまた一つ、大きなものを抱え、そして失っていたんだ…。
何も気付けなかった。
何も、聞こうとしなかった。
《…マツ、相談があるの…。
終わる頃、お店に来て欲しい…》
留守電に、それだけ入っていた。
あれから千里が、うちに来ることはなかった。
たまに店で顔を合わして、ちょっと話して、それで終わり。
微妙な隙間風が吹いていたことくらい、俺にだってわかってた。
「…相談…?」
受話器を耳に当てたまま、首をかしげた。
“話がね、あるの”
これとは、別のことなんだろうか?
考えたって、ちっともわからない。
“隠し事はナシだ”って、自分で言った筈なのに…。
お前は俺に、言おうとしてたのにな…。
全部、踏みにじったのは俺だ―――…
だから俺も、何も聞かなかった。
15分間の重苦しい時間は、今思えば、お互いの胸を締め付けていたんだろう。
“やっぱり隼人が好き”
そんな風に言われるんだと思ってたんだ。
だけど、そんなことを考えていたのは俺だけだった。
千里の身には、もっと大きなことが降りかかっていた。
細い体で、細い腕で…
お前はまた一つ、大きなものを抱え、そして失っていたんだ…。
何も気付けなかった。
何も、聞こうとしなかった。
《…マツ、相談があるの…。
終わる頃、お店に来て欲しい…》
留守電に、それだけ入っていた。
あれから千里が、うちに来ることはなかった。
たまに店で顔を合わして、ちょっと話して、それで終わり。
微妙な隙間風が吹いていたことくらい、俺にだってわかってた。
「…相談…?」
受話器を耳に当てたまま、首をかしげた。
“話がね、あるの”
これとは、別のことなんだろうか?
考えたって、ちっともわからない。
“隠し事はナシだ”って、自分で言った筈なのに…。
お前は俺に、言おうとしてたのにな…。
全部、踏みにじったのは俺だ―――…