粉雪2-sleeping beauty-
「…どーすんだよ?
嫌なら、他あたるけど?」


『付き合いたいです!!』


「…あっそ。
じゃあ、そーゆーことで。」


終話ボタンに手を掛けた瞬間、佐和が電話口から制止した。



『待ってください!
…本気…ですよね…?』



俺が、こんな女に本気になるわけねぇだろ。


顔も覚えてないような女なんだから…。



「…当たり前だろ?
お前が好きなんだよ…。」


『―――ッ!』



何でこう、簡単に言えるんだろう…。


どれだけ俺は、この台詞を我慢し続けてただろう…。



『…これから…会えますか?』


「…良いよ。」


電話を切ると、笑いが込み上げてきた。



可笑しくて、可笑しくて…


涙が出るほど笑った。



こんな口約束だけで、人の心は繋がるものなんだろうか?


隼人さんとアイツは、こんな口約束があったから、縛られ続けてたんだろうか?


見えないものを形にするように、お揃いの物をつけて…。



馬鹿みたいだ。


…結局、一番馬鹿なのは、俺なんだよな…。


“兄弟”だったら、どんなに願っても、

アイツを手に入れることなんて出来ないのに…。


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