粉雪2-sleeping beauty-
『…わかんないけど、マツの声が聞きたくなったの。』


「―――ッ!」



何でコイツは、俺を苦しめるんだろう?


こんな電話、出るんじゃなかった…。



「…本気でウザイわ。」


『…そうだね、ごめん。』


唇を噛み締めると、言葉が出ない。


コイツの傷ついてる顔が、簡単に想像できる。



「…弁解しろよ!謝れよ!!
もぉ…振り回すなよ…!!」



悔しかった…。


失ったのにまだ、手に入れたいと思ってる…。


そんな未練がましい自分が嫌で、ぞれを全部千里にぶつけた。



『…ごめんね、マツ…。』


千里の言葉は、それだけだった。



『…マツさぁ、ちゃんとご飯食べるんだよ?
マツの食べるのはいっつも、栄養偏るようなものばっかだからさ…。』


「―――ッ!」



何なんだよ、一体…!


振り回すなよ…!



「俺の心配なんか、してんじゃねぇよ!
てめぇにゃ関係ねぇだろ?!」


『…うん、そうだね…。』


少しの沈黙の後、千里はゆっくりとそれだけ告げた。



終わったんだよ、俺達は…。


違うか…


始まってさえいなかったんだ…。


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