粉雪2-sleeping beauty-
『―――社長…。
最近…どーしたんすか?』


「…何が?」


微糖のコーヒーを差し出され、眉をしかめて受け取った。


その向かいに腰を下ろした真鍋は、戸惑いがちに言葉を探す。



『…最近…ママと会ってます?』



いつかは聞かれるだろうと思っていた。


お節介すぎて、ヘドが出る。



「…なぁ、真鍋よぉ…。
俺さぁ、佐和と付き合ってんだわ。」


煙草を咥えてプルタブを開けると、プシュッ小気味良い音が響く。


目を見開いた真鍋の顔は、酷く滑稽だと思った。



『…冗談…でしょ?』


「…つまんねぇ冗談なんか言って、何か意味があんの?」


煙を吐き出しながら、コーヒーを流し込んだ。


少しの苦味と甘みが、口の中で混ざり合う。



「…くっつけたかったんだろ?
お前の作戦、成功じゃねぇか。」


ハッと笑い、再び煙草を咥えて机の上に缶を置いた。



『ちょっと待ってくださいよ!
あんなので、社長が本気になるわけないじゃないっすか!!』


「…あんなの?」


眉をしかめて睨み付けた。



『あの女のことじゃないっすよ?!
てゆーか、他の女でもそうですよ!!』


「…何が言いたいんだ?」


捲くし立てる真鍋に、ため息をついた。


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