粉雪2-sleeping beauty-
「…振り回すし我が儘だし、ムカつくけど…。
それでも心配なんだよ…!」


振り絞った声に、真鍋は何も言わなかった。


「…他の女抱いたって、抱けねぇアイツの方が良いんだよ…。」


電話口から、真鍋の深いため息が聞こえてきた。


そして真鍋は、ゆっくりと口を開いた。



『…K総合病院です。』


その瞬間、飛び出していた。


打ち続ける心臓の音は早くて、千里の無事だけを祈り続けた。



たった一ヶ月会わなかっただけで、アイツに何が起きたんだ…?


男が居て、幸せなんじゃねぇのかよ?


俺が行って、どーなるのかなんてわからない。


アイツにとって、邪魔なだけなのかもしれない。


だけど、このまま放っておけるわけがない。


アイツの無事な姿を見ないと、安心できない。



病院の駐車場に、放置するように車を止めた。


自動ドアの開くスピードさえ待てずに、手でこじ開けた。




「―――千里どこだよ?!
運ばれただろ?!女が一人!!」


受付に居た女に、捲くし立てるように聞いた。


薄暗い病院に、俺の声が響く。


夜間診療に訪れていた人々が、一斉に振り返った。



『ちょっ、落ち着いてください!!
静かにしてください!!』


「早く言え!!」


制止するように立ち上がった女に、再び捲くし立てた。


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