粉雪2-sleeping beauty-
『…ママのお母さん、死んだんだって。』


「―――ッ!」



…母親が…死んだ…?


これほど簡単な言葉なのに、それすらも理解できない。



『何でママの傍に居なかったの?!
ママ、一人でお葬式に出たんだよ?!』


「…一人…で…?」



蘇るのは、隼人さんが死んだ時。


アイツはあの時も、一人だった…。


顔を覆い、力が抜けるように壁にもたれ掛かった。


ひんやりとした感覚が、服越しにも伝わってくる。



『…河本って組長が来て、“お前の母親が危篤だ”って言ってて…。』


そう言って、ルミは唇を噛み締めて俯いた。


握り締める拳からも、押し殺しているであろう怒りが伝わってくる。



『…嵐さんが来てた日…。
その前にルミ、ママと一緒に買い物してたの…。』


ルミの声は、震えていた。


俺の代わりに、泣いているのかと思った。



『…その時電話が鳴って…。
ママ、青い顔してた…。
どしたの?って聞いたら、“お母さんが死んだんだって”って…。』


「―――ッ!」



“話がね、あるの”


河本が来て、母親の危篤を告げた時だろうか…?



“相談…あるから”


母親が、死んでしまったことだろうか…?


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