粉雪2-sleeping beauty-
『…俺は、“大事なお友達”なんだと。
初めてだよ、そんなこと言われたの。』


ハッと笑い、俺が返したジッポを受け取り、自分の煙草を取り出した。



『…買い物に付き合わされたかと思えば、煙草買わされて。』


「…俺と一緒だな。」


火をつけ、吸い込む姿を横目に見ながら、自嘲気味に笑った。



『違うだろ~。
アイツは、俺の前で弱音なんか吐かなかった。』


そして、言葉を続けた。


『…“それを聞くのは、隼人とマツの役目なんだよ”ってさ。』


「―――ッ!」



息苦しくて、堪らなかった。


吐き出す場所を失わせたのは、俺達なのに…。


死んだ男と、逃げた男に縛られて…。







♪~♪~♪

着信:ルミ


「―――ッ!」


ディスプレイを確認し、ため息をついた。


―ピッ…

「…何だよ。
まだ文句あんのかよ…。」


『殴り合ってない?!』


突然の怒声に、噴出しそうになった。


電話口から声が漏れていたのか、嵐も笑っている。


先ほどの出来事が嘘であるかのように、俺はすっかり気が抜けていた。



「…別に、煙草吸ってただけだよ。」


『じゃあ、今すぐ戻ってきて!!』


仕方なく電話を切り、立ち上がった。


今度は俺の後ろを、少し汚れた服の男が続く。


何だかすごく、変な気分だった。


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