粉雪2-sleeping beauty-
『―――社長!!』


俺の元に、真鍋とルミが駆け寄ってきた。



『…先生が呼んでる。
マツさん…行ってよ。』


視線をルミの指差す方に向けると、ひ弱そうな白衣の男が立っていた。


ため息をつき、差されている方に向かって足を進める。


その後ろを、何故か嵐も付いて来た。




『…状況から申し上げますと、今は安定剤で眠っています。』


カルテらしき物を見ながら、医者は事務的に話す。



「…安定剤…?」


『…後は、点滴ですね。
彼女の場合、過度のストレスと睡眠不足、あとはまぁ、栄養も不十分ですし。』


当たり前のようにポンポンと言葉を並べられても、状況についていけない。



『…で?
結局の所、何で倒れたの?』


俺の代わりに、嵐が聞いた。



『…知らなかったんですか?』


少し驚きながら、“やれやれ”と言った口調で、ため息をつき、言葉を続けた。



『…運ばれてきた原因は、ただの過呼吸ですから。』


「―――ッ!」



過呼吸って…。


“ただの”とかで済むのか…?



『…またアイツ、過呼吸なんかなったの?
それで救急車呼ぶなんて、ルミちゃん大袈裟だな。
けどまぁ、休養と栄養補給にゃこれが一番だったのかもな。』


呆れ半分で言う嵐に、言葉を失った。


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