粉雪2-sleeping beauty-
『…二人とも、口の所どーしたの?』


諦めた千里は、ため息をついて口を開いた。



『いやぁ、噂通り危ない男だな、マツは!(笑)』


「…てめぇにだけは、言われたくねぇよ。
一番に殴りかかって来ただろーが。」


笑いかける嵐を、睨み付けて吐き捨てた。



『…何やってんのよ、二人とも…。』


そんな俺達に、千里は頭を抱える。



「…“何やってんの”はお前だろ?」


『―――ッ!』


俺の言葉に、千里は再び押し黙ってしまった。



『友達になったんだよな、マツ!(笑)』


静寂を打ち破ろうとしたのか嵐は、不似合いなほど明るい声で笑う。



「…なってねぇだろ。
つーか、気安く触んなよ…。」


俺の肩をポンポンと叩く嵐の手を振り払い、ため息をついた。



『…煙草吸いたい…。
買ってきてよ、嵐…。』


『了解~。
時間掛かっちゃうけど、ごゆっくり♪』


千里の顔で何かを悟ったのか嵐は、手をヒラヒラとさせて部屋を出た。


その姿を二人で見送りながら、少しだけ笑った。



「…少しは禁煙しろよ。」


千里のベッドに腰を下ろした。


改めて間近で見た千里は、やっぱり痩せ細っていた。


河本が来たことも、母親が死んだことも、

この細い体に一人で背負わせてしまったんだ。


千里をこんな風にしたのは、間違いなく俺の責任なんだ…。



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