粉雪2-sleeping beauty-
―――それは、千里が倒れてから10日ほど経ったある日だっだ。


朝の9時を過ぎ、全員無事に出勤したことを確認し、

布団に入ろうとした矢先、携帯が鳴り響いた。



♪~♪~♪

見ると、知らない番号。


嫌な予感が支配しながら、警戒して通話ボタンを押した。



―ピッ…

「…ハイ。」


『俺だよ、嵐!!』


「―――ッ!」


電話口から聞こえてくる男の顔を思い出し、大きなため息をついた。


俺の知っている“嵐”って名前の男は、あのクソホストしかいない。



『…連絡して来いって言ったろ?マツ!』


「呼び捨てすんなって言ったろーが!
つーか、何でお前が俺の番号知ってんだよ?」


眠いやら、頭が痛いやらで、嫌になってくる。


何で俺が、こんな男に貴重な睡眠時間を邪魔されなきゃいけなんだよ。



『…千里が教えてくれたんだよ。
“マツは照れ屋だから、嵐が連絡してあげて♪”って。』


「照れ屋じゃねぇよ!」


思わず立ち上がってしまった。



『…説得力ねぇけど、そーゆーことにしといてやるよ。』


電話越しにも、嵐のため息が聞こえてくる。


遊ばれている気さえして、段々腹が立ってきた。



「…つーか、電話してきたからには、何か用があるんだろ?
なかったら、マジでキレるぞ?」


『…短気な男だねぇ。』


“やれやれ”と言いながら、言葉を続けた。


『暇なんだろ?
出て来いよ!』


「ハァ?!」


嵐の言葉に、眉をしかめた。


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