粉雪2-sleeping beauty-
「…なぁ、真鍋…。
千里が心配なら、これからはルミにでも聞け。」


『―――ッ!』


瞬間、何かを悟ったのか真鍋は、目を見開いた。



『ちょっ、待ってくださいよ!!
どーゆー意味なんすか?!
ママのことは、社長が一番分かってる筈でしょ?!
てゆーか、そうじゃなきゃダメっすよ!!』


悲しそうに捲くし立てる真鍋に、ため息をついた。



「…俺は、アイツのことなんか、何もわかんねぇんだよ。
何考えてるかも、ずっと分かんなかったんだよ…。」


『―――ッ!』


「…俺達はもぉ、離れたんだよ…。」


俺の言葉に、真鍋は目を見開いたまま固まってしまった。


指にある真鍋の煙草からはユラユラと煙が漂い、汚い天井へと消えていった。



『…そんな…!』


「…選んだのは、アイツだ…。」


『―――ッ!』



選ばせたのは俺だけど、千里は何も答えなかった。


引き止めることもしなかったんだ。



「…お前が口出すことじゃねぇから。」


『―――ッ!』


何か言おうとしていた真鍋の目を見据え、ハッキリと言った。


その瞬間、真鍋は目を伏せるようにして、言葉を押し殺した。



『…悔しいっす…。』


「…俺も悔しいよ…。」


吐き出すように言う真鍋の姿を見つめることが、俺には出来なかった。


部屋には悲しい沈黙だけが支配し、俺の胸を締め付けた。




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