粉雪2-sleeping beauty-
―ガチャ…

『いやぁ、食ったっすねぇ~!』


真鍋は、大満足な様子で運転席のドアを開けた。


外は相変わらずの雪景色。


だけど俺はいつまで経ってもその寒さに慣れなくて、

身を縮めて助手席のドアを開けた。



「…お前、あの味で良いのか…?」


眉をしかめた俺に、真鍋はキョトンとした顔を向けてきた。


その顔を見て一つため息をつき、そのまま何も言わなかった。



『…まぁ俺も、奢ってもらったから何も言いませんけど。』


少し不貞腐れたように、真鍋はエンジンを掛けた。


その瞬間、まだ冷たい風が通気口から勢い良く出てきた。


外と同じか、それ以上に冷たい風に、一気に酔いが冷めるのを感じる。




通っている裏道は、地元の人間しか知らないような道で。


街頭さえまばらな上に、当たり前だけど人っ子一人、居なかった。



「…こんな道あったのかよ…。」


『知りませんでした?
もーちょっと行ったトコの角曲がったら、事務所まで近道なんすよ。』


“ふ~ん”なんて言いながら、視線を真鍋の言う方に向けた。



その瞬間だった―――…




「真鍋、危ない!!」


『―――ッ!』


まるでスローモーションの様に、脇道から車が一旦停止を無視して飛び出した。


その瞬間に声を上げた俺に驚き、真鍋は急ブレーキを踏んだ。


ガシャーンと音がした次の瞬間には、体中を打ち付けていた。



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