粉雪2-sleeping beauty-
医者に治療してもらい、傷は何とか縫わずに済む程度だったことは、幸いだった。


ムチウチで体中が痛い為、一応レントゲン撮ったりと、何だか忙しかった。



俺の頭の中には、入院やらのプランがテンコ盛りで。


どうやって保険屋から金を引っ張るかばかり。


だけど一つだけ、引っかかることがあった。





「…なぁ、真鍋…。
俺、変な世界見た気がするんだけど、頭おかしいと思うか?」


『どんな世界っすか?!』


全てが終わり、ロビーの椅子に腰掛けた。


同じように腰掛けていた真鍋は、俺の言葉に驚いたように声を上げる。



「…わかんねぇけど、死んだのかと思った…。」


『…じゃあそれ、思い残すことでもあったんじゃないんすか?
だから社長は、戻って来れたんすよ。』


そう言って立ち上がった真鍋は、携帯を取り出し

“嫁に電話してきます”の言葉を残して、どこかに歩いていった。



思い残すこと…?


言われて記憶を辿った。



“アイツの笑った顔が見てぇ”


確かあの時、そんな風に思った気がする。



“次に生きる時は、真っ先にアイツに会いに行こう”


俺今、生きてるんだよな…?


アイツも俺も、生きてるんだよな…?



じゃあ俺、会いに行けば良いのかな…?


つーか、会ってどうなるんだろう…?


何かもぉ、やっぱり何もわかんねぇや…。



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