粉雪2-sleeping beauty-
「―――千里!!」


気付いたら、足を踏み出していた。


もぉ絶対、逃がさないと決めたから。






『やめて、幸成!!』


「―――ッ!」


その瞬間、呼び止める声に足が止まった。



…この…女の所為で…!


許せねぇ…!



拳を握り締め、ゆっくりと佐和に顔を向けた。


佐和も負けじと、俺の目を見据える。



「…てめぇだけは、死んでも許さねぇから…!」


『…そんなに…大事な人だって言うの…?』


唇を噛み締め、佐和は声を上げた。



「…大事とか…大事じゃねぇとか…。
そーゆー次元じゃねぇんだよ!!」


『―――ッ!』


再び拳を振り上げた。


ただ、この女が許せなかった。


まるで、安西香澄の時とダブって見える。







『―――マツ!
てめぇ、何やってんだ?!』


瞬間、目を見開いた。


相変わらず病院に溶け込みそうな純白と、映える茶色い頭。



「…嵐…?」


状況が理解できていない俺を無視し、嵐はこちらに駆け寄ってくる。



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