粉雪2-sleeping beauty-
―――また朝を向かえ、降り続いていた雪は止んだ。


そしてまた一日、あの人の命日に近づく。



“意地でも自分のものにしようなんて考えてませんから”


去年確か、隼人さんに言ったんだっけ。


初めから俺は、そんな風に考えていたのに。



今年は一人で、アイツは金平糖を入れるんだろうか。


そうさせたのは、俺なのに…。



初めての命日まで、俺はお前を支え続けた。


次の命日まで、俺はお前に隼人さんを忘れさせようとした。


その結果だ。


これから俺達は、別々の道を歩むんだ。


迎える2回目の命日は、どうなってしまうんだろう…。


それを過ぎたら俺は…


お前は…


どうなってしまうんだろう…。




愛してて、苦しくて…


多分俺は、この時あの方法を思いついていたのかもしれない。



願い続けた幸せは…


探し続けたお前の幸せは…


俺が与えてやることが出来なかった…。



全て仕組まれていたことだったとしたら…


一番残酷な方法を、俺にさせたんだ…。


どうすれば、千里が一番傷つかずにすむか…。


全て、わかっていたんだろうな…。



なぁ、隼人さん…


アンタは“あの時”まで、千里を待ち続けたのか…?


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