粉雪2-sleeping beauty-
処置室から運び出される千里は、まるで人形みたいに血の通っていない色をしていた。
細い腕には点滴が刺され、左の手首に巻かれた真っ白な包帯が、ただ痛々しかった。
運ばれたのは、ナースステーションの向かいにあるガラス張りの部屋。
意識を取り戻し、安定したら一般病室に移されるらしい。
千里のベッドを取り囲むように、嵐とルミと真鍋が顔を覗き込む。
だけど俺は、その後ろで動けないまま。
目を覚ました時、俺が居て良いのだろうか。
…また傷つけるようなことになってしまったら…。
そんなことを考えるだけで、ただ怖かった。
何でこんなことになってしまったんだろう…。
何で千里は、こんなことをしたんだろう…。
傍に行くことも、手を伸ばすことも出来ない…。
失って、取り戻して、また失って、取り戻して…
折角離れたのに…。
お前の笑った顔が見たいから、追いかけなかったのに…。
傷つけたくなかったから、“もぉ会わない”って決めたのに…。
こんなことをさせたいんじゃない。
隼人さんのところに行かせる為じゃない…。
何をすることが、一番千里のためになるだろう…。
苦しいのは、俺だけで十分だ…。
ただ、愛してるから…。
「…俺、帰るわ…。」
『―――ッ!』
俯く俺に、嵐が拳を握り締めて近づく。
『…“男なら、責任取れ”って言わなかったっけ?』
「傍に居ることが、責任の取り方だとは思えねぇ。」
『―――ッ!』
細い腕には点滴が刺され、左の手首に巻かれた真っ白な包帯が、ただ痛々しかった。
運ばれたのは、ナースステーションの向かいにあるガラス張りの部屋。
意識を取り戻し、安定したら一般病室に移されるらしい。
千里のベッドを取り囲むように、嵐とルミと真鍋が顔を覗き込む。
だけど俺は、その後ろで動けないまま。
目を覚ました時、俺が居て良いのだろうか。
…また傷つけるようなことになってしまったら…。
そんなことを考えるだけで、ただ怖かった。
何でこんなことになってしまったんだろう…。
何で千里は、こんなことをしたんだろう…。
傍に行くことも、手を伸ばすことも出来ない…。
失って、取り戻して、また失って、取り戻して…
折角離れたのに…。
お前の笑った顔が見たいから、追いかけなかったのに…。
傷つけたくなかったから、“もぉ会わない”って決めたのに…。
こんなことをさせたいんじゃない。
隼人さんのところに行かせる為じゃない…。
何をすることが、一番千里のためになるだろう…。
苦しいのは、俺だけで十分だ…。
ただ、愛してるから…。
「…俺、帰るわ…。」
『―――ッ!』
俯く俺に、嵐が拳を握り締めて近づく。
『…“男なら、責任取れ”って言わなかったっけ?』
「傍に居ることが、責任の取り方だとは思えねぇ。」
『―――ッ!』