粉雪2-sleeping beauty-
結局また自分で墓穴掘って、ハイ、自爆?


笑えねぇだろ、俺って。


その日に何があったかなんて聞けなかったし、聞きたくもなかった。


いつもならこの後、“隼人がね?”って続くんだよ。



『…そろそろ行こうか…。』


「…え?あぁ、うん…。」


だけど何も言わずに立ち上がった千里に、ただ驚くことしか出来なかった。



昨日までの千里とは違ってたんだ。


何が違うのかなんて言葉では表現できないけど、とにかく違った。



思えば今日は、隼人さんの話が出てこない。


何でかわかんねぇけど、それはそれで不安になった。



命日を過ぎたらお前がどうなるかなんて全然わかんなかったけど、

不安の残りの部分は、嬉しさもあったんだ。


“隼人さんを忘れようとしてるんだろうな”って。


“良い傾向だな”って、勝手に勘違いしてた。



追い詰めてたのは、俺自身だったんだな。


俺がお前を、こんな風に変えてしまったんだよな。



ちっちゃな不安だと思ってたのは俺だけだった。


だけど俺は、そのちっちゃな不安さえも目を背けたんだ。



“やっぱり1年経ったから、千里の傷はちょっとだけ小さくなったんだ”って。


良い方に思い込んでた。


そうでもしないと、さすがに窒息するだろ?


俺はお前の幸せを望んでるからこそだったんだ。



こーゆーのって、言い訳なのかな…?



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