粉雪2-sleeping beauty-
『…どこに行くの?』
車に乗り込みエンジンを掛ける俺に、千里は戸惑いがちに聞いてきた。
横目で少し口元を緩ませ、俺は答える。
「俺んち。」
『…そっか。』
何かを悟ったのか千里は、それ以上は何も言わなかった。
代わりに煙草を咥えた千里は、ゆっくりと火をつけて吸い込んだ。
それは、懐かしいほどに久しい横顔だった。
一体どれだけの間、俺達は離れていたのだろう…。
そこが指定席だと思っていたのは、きっと俺だけだったのだろう。
そんな風に思うと、少しだけ悲しくなった。
「…昨日、眠れた?」
一年前、隼人さんの命日の次の日に会った時、同じ事を聞いた気がする。
『…全然だよ。
マツの事、心配だったから…。』
「…そっか、悪かったな…。」
俺の言葉に、千里は小さく首を横に振った。
「…もぉ二度と、お前が泣くことはないから。
絶対、ハッピーになれる。」
『―――ッ!』
一瞬目を見開いた千里は、再び視線を足元に落とした。
『…楽しみにしとくよ。』
悲しそうに笑う横顔は、今までどれだけのものを背負ってきたのだろう。
だけどもぉ、お前は苦しまなくて良いんだ。
俺の手で、幸せにしてやるから。
だからただ、笑ってて欲しかった。
車に乗り込みエンジンを掛ける俺に、千里は戸惑いがちに聞いてきた。
横目で少し口元を緩ませ、俺は答える。
「俺んち。」
『…そっか。』
何かを悟ったのか千里は、それ以上は何も言わなかった。
代わりに煙草を咥えた千里は、ゆっくりと火をつけて吸い込んだ。
それは、懐かしいほどに久しい横顔だった。
一体どれだけの間、俺達は離れていたのだろう…。
そこが指定席だと思っていたのは、きっと俺だけだったのだろう。
そんな風に思うと、少しだけ悲しくなった。
「…昨日、眠れた?」
一年前、隼人さんの命日の次の日に会った時、同じ事を聞いた気がする。
『…全然だよ。
マツの事、心配だったから…。』
「…そっか、悪かったな…。」
俺の言葉に、千里は小さく首を横に振った。
「…もぉ二度と、お前が泣くことはないから。
絶対、ハッピーになれる。」
『―――ッ!』
一瞬目を見開いた千里は、再び視線を足元に落とした。
『…楽しみにしとくよ。』
悲しそうに笑う横顔は、今までどれだけのものを背負ってきたのだろう。
だけどもぉ、お前は苦しまなくて良いんだ。
俺の手で、幸せにしてやるから。
だからただ、笑ってて欲しかった。