粉雪2-sleeping beauty-
千里は目の前に並べられた指輪と俺の顔を交互に見ながら、困った顔をしていた。
だけど店員は、必死そうに指輪を勧める。
「…一番右のヤツ良くない?」
『…良いけど…』
一番右に置かれているのは、つや消し加工の施された少し太めのリング。
真ん中に大きなダイヤが埋め込まれ、輝きを放っている。
それを指差す俺に、千里は憮然とした表情を向けた。
「じゃあ、コレね。」
『…え?買うの…?』
「…買うから選んでんだろ?」
当たり前の様に言う俺に、千里は大きなため息をついて何も言わなかった。
「…いくら?」
財布を取り出し、店員に向き直る。
『えーと…、お支払い方法は…?』
「…キャッシュに決まってんだろーが!
舐めたこと言ってんじゃねぇぞ?」
戸惑いがちに聞いてくる店員を一蹴し、札束を取り出した。
千里は呆れ半分で、ただ俺達のやりとりを見つめていた。
「…お前ソレ、そのままつけとけ。」
その言葉を残し、指輪の箱を持って立ち尽くす店員を無視して千里の手を引っ張った。
『…ちょっ、待ってよ!!』
『あっ、ありがとうございました!』
背中から店員が声を上げていたが、俺は振り返ることもなく足を進める。
近くにあるテラスに足早に向かい、我慢していた煙草を取り出し、火をつけた。
「…怒った?」
『…ちょっとね。
何でこんなことすんの?』
同じように千里も煙草を咥え、口を尖らせる。
だけど店員は、必死そうに指輪を勧める。
「…一番右のヤツ良くない?」
『…良いけど…』
一番右に置かれているのは、つや消し加工の施された少し太めのリング。
真ん中に大きなダイヤが埋め込まれ、輝きを放っている。
それを指差す俺に、千里は憮然とした表情を向けた。
「じゃあ、コレね。」
『…え?買うの…?』
「…買うから選んでんだろ?」
当たり前の様に言う俺に、千里は大きなため息をついて何も言わなかった。
「…いくら?」
財布を取り出し、店員に向き直る。
『えーと…、お支払い方法は…?』
「…キャッシュに決まってんだろーが!
舐めたこと言ってんじゃねぇぞ?」
戸惑いがちに聞いてくる店員を一蹴し、札束を取り出した。
千里は呆れ半分で、ただ俺達のやりとりを見つめていた。
「…お前ソレ、そのままつけとけ。」
その言葉を残し、指輪の箱を持って立ち尽くす店員を無視して千里の手を引っ張った。
『…ちょっ、待ってよ!!』
『あっ、ありがとうございました!』
背中から店員が声を上げていたが、俺は振り返ることもなく足を進める。
近くにあるテラスに足早に向かい、我慢していた煙草を取り出し、火をつけた。
「…怒った?」
『…ちょっとね。
何でこんなことすんの?』
同じように千里も煙草を咥え、口を尖らせる。