粉雪2-sleeping beauty-
『…何か、コレやだ。
キャバっぽくない?』


カーテンを開けた千里は、恥ずかしそうに胸元を押さえた。



『そんなことないですよ~!
よくお似合いです!!
ね?彼氏もそう思いますよね?』


何故か後ろから現れた店員は、俺の言葉を遮り笑顔を向けてきた。



「…ちょっとアンタ、黙っててくれない?
俺が選んでんだから、口出しすんなよ。」


『ごっ、ごめんなさい!』


そう言って、逃げるようにいなくなった。


再び千里に顔を向けると、明らかに怒っている様子だ。



『…店員さん、可哀想だよ?』


「…気に入らねぇなら、次のに着替えろよ。」


だけど返事をしなかった俺に、

千里はまたあからさまにため息をついてカーテンを閉めた。


待っている間は、果てしなく居心地が悪い。


女ばかりのこの場所で、明らかに俺一人浮いている。




『どーですか?』


次にカーテンを開けた千里を見た瞬間、言葉が出なかった。


すっげぇ似合ってて、思わず俺も、笑みが零れる。



「…良いんじゃねぇの?」


『…てゆーか、何で白ばっかなの?
他の色が良い。』


だけど千里は、恥ずかしそうに俯く。


白い肌に映える純白のドレス風のワンピースは、きっと他の男も寄ってくるだろう。


それほど千里は、綺麗だと思った。



「…それ、買ってやるよ。」


『…やだ。
どーせまた、これ着たままなんでしょ?
上着が全然あってないし。』


「…じゃあ、上着も買えば?」


そんな俺に、千里は相変わらずのため息ばかりだ。


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