粉雪2-sleeping beauty-
千里の蜜の溢れる場所に、深く自分を押し込む。


きつく閉ざされた場所に押し入ると、千里が顔を歪めた。


だけど俺はもぉ、止められないから。




「…ちょっ、締めすぎだって…!」


『―――ァ!』



気持ち良すぎて、死にそうだった。


あぁ、俺達は…


やっとひとつになれたんだな…。


こんなに愛しいなんて、思ったことねぇよ…。


なのにまだ、留まることを知らないようにお前への感情が溢れ出てくるんだ。


お前は今、間違いなく俺だけのものなんだよ。


俺だけのこと考えて、お前は感じてるんだ。


こんなに良いもんだなんて、知らなかった。


忘れたくねぇよ…。


お前の笑った顔も、お前の温もりも。


その白い肌も、快感に歪む顔も。


ただ目に焼き付けたくて。



「…すっげぇ愛してんだよ、千里…。」


『―――ャ!
あたし…も…』


「―――ッ!」



泣くように鳴く女だと思った。


そのか細い声が、俺の支配欲を掻き立てる。


なのに愛しさとか嬉しさばかりがこみ上げてきて、何故だか泣きそうになった。


思い出なんて、何一つ蘇ってこなかった。


ただ、俺を包み込む千里を感じていたかった。


忘れないように、忘れないように…


体に、心に、刻み付けておきたかった。


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