粉雪2-sleeping beauty-
『マツ―――』


「駄菓子屋行くか?」


何か言おうとする千里の言葉を遮り、笑顔を向けた。



『…あたしね?―――』


戸惑った瞳を、再び遮った。


「何だっけ、お前の好きなヤツ!
ココアの味の煙草みたいなやつ!
あれ買ってやるよ!
さっきのお返しに、箱買いだぞ?
嬉しくねぇか?(笑)」


わざとらしいほどの笑顔を向け、千里を残して歩き出した。



…ごめんな?


聞きたくなかったんだよ、何も…。



『…それじゃなくて、綿菓子を箱買いしてよ…。』


諦めた千里は、それだけ言って足を進めた。



「了解っす!(笑)」


歯を見せて笑った俺に、千里は力なく笑顔を向けた。




肩抱いただけであんなにビビられたら、結構ショックだろ。


そんなつもりはなかったけど、“そんなに俺のこと嫌かよ”みたいな?



あぁもぉ、ホントに限界かもしんねぇ…って。


だって今、隼人さんがアンパン喰ってた時の気持ちがわかるんだぜ?


お前の所為にするつもりはねぇけど、

それでもそんな顔されたら逃げたくなるんだよ。



お前の大きな瞳で見つめられると、自分が悪いことでもしてるみたいな?


とにかく、“汚しちゃいけぇね”って思うんだよ。


吸い込まれちゃいそうでさ。


罪悪感ばっか襲ってくるんだよ。



< 40 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop