粉雪2-sleeping beauty-
駄菓子屋で綿菓子やらココア味の煙草みたいなやつや、

俺には同じようにしか見えないラムネ味のお菓子なんかを大量に買い込み、

千里は満足そうに笑っていた。


それを見た俺も、少しだけ安心する。



お前のちょっとしたことに一喜一憂してさ。


初めはそれでも幸せだったんだよ。


だけど人って次から次に欲が生まれるだろ?


そんなんじゃもぉ、満足出来なかったんだ。





「…次、どこにする?」


『う~ん、悩むよねぇ~。』


そう言いながら、千里は渋い顔を見せた。



『…服も欲しいし、パンプスも欲しいでしょ?
あと、マスカラも買わなきゃだし、100均も行きたいし~。』


指折り数えながら言う千里に、笑い掛けた。



「…時間あるだろ?
全部行けば良いじゃん!」


『マツってタフだね~。』


そんな俺に、千里は困ったようにため息をついた。



「…お前のもの買うのに付き合ってんだから、感謝くらいしろよ。」


『ハイハイ。
どーもね。』


棒読みで言う千里に、口元が引き攣る。


こーゆートコは、ホントに昔から変わらない。


何故かいつも、俺には憎まれ口ばかりだ。


だけど結局、それさえも“愛しい”と思ってしまうんだから、

ホントに俺は重症なのだろう。


俺より女を見てきた隼人さんがハマるんだから、普通の男じゃ絶対コイツに落ちる。


だけど隼人さんしか愛せないコイツは、誰にも落ちる事はないんだろうな…。


俺じゃなくても良いとは思ってるけど、

でもやっぱり俺以外の男が隣に立つのは、あんまり見たくない。


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