粉雪2-sleeping beauty-
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千里を家に送って、自分のマンションに戻った。


先ほどまで暖かかった部屋が、急に熱を失っている。


その瞬間、心にポッカリ穴が開いてしまうような。


虚しくて悲しくて、どーしようもなくなるんだよ。




窓ガラスにはツリーの絵が描かれたままになってて、

さっきのお前の温もりを必死で思い出すんだ。


机の上に置きっ放しにしておいたドルガバのキリストロザリオ眺めて。


灰皿に溜まったセブンスターのピンカス眺めて、スカルプチャーの残り香を探すんだ。


だけどすぐに、俺のマルメンの匂いで消されちゃって。


お前が帰って行ったことを知るんだ。


隼人さんと二人きりの、あの部屋に。



“俺の存在って、アイツの中で何なんだろう”ってことばっか考えて。


また、虚しくて悲しくて、どーしようもなくなるんだ。



こんなに近い場所にいるのに、お前はすっげぇ遠いんだよ。


いつも、俺なんか見てないような目ぇしてるんだ。


…隼人さんの面影を探すような、そんな目…。



…お前、気付いてたか…?


いや、気付いてなかったのは俺の方か…。


お前が何を恐れ、俺にどうして欲しかったのか。




“俺は、隼人さんとは違うから”


自分で言ったのにな。


もしかしたら、俺の存在自体がお前を傷つけてたのかもしれねぇな。



…やっぱりあの時、死ぬのは俺で良かったんだ…。


そしたらお前ら、苦しまずにすんだのにな…。


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