粉雪2-sleeping beauty-
翌日、朝からパチンコ屋に行った。


書類なんて片付ける気分でもないし…。



10円玉をストッパーにしといたら、勝手に玉が吸い込まれていって。


それをただ、眺め続けるんだ。



どんどん出てくるパチンコ玉は、まるで俺の欲望みたいで。


すっげぇ気持ち悪くなるんだよ。




今日は、12月26日―――…


千里が“一人で過ごしたい”と言った、隼人さんとの思い出がある日。



お前の為を思えば、一人で過ごさせてやりたいんだよ。


でも、自分自身の為には、一人で過ごして欲しくなんてなかった。




“甘やかすことって、愛情なのかな?”って。


そんな風に思い始めたんだ。



俺はお前を甘やかせ続けた。


なのに、何も変わらない。


相変わらず隼人さんを思い出して泣くし、思い出の中だけで生きてるんだ。



だけど、隼人さんは死んだんだ。


そして、お前は生きてるんだよ。


いい加減、現実を受け止めて欲しかった。



何も分かってなかった俺は、飛び出したんだ。


無我夢中でお前の家に向かった。


連れ出してやりたかったんだよ、あの部屋から。


そして、“隼人さんの思い出”っていう呪縛から。



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