粉雪2-sleeping beauty-
車に乗った千里は、何も言わずに不貞腐れていた。
「…俺、何も難しいことは言ってねぇだろ?
飯食えば、何も言わねぇよ…。」
ホントは、ちょっとだけ嘘だ。
隼人さんの思い出だって、取り払ってしまえば良いんだ。
『…ごめん…。』
口を尖らせた千里が、小さく呟く。
その言葉に一つため息をつき、言葉を続けた。
「…心配さすなって、何回も言ったろ?」
『…うん、ごめん…。』
相変わらず、こんな調子だ。
だけど俺は、“甘やかさない”と決めたんだ。
荒療治なのは、わかってる。
でも、俺の中では“もぉ一年”なんだよ。
『…隼人、あたしのこと嫌いになっちゃったのかなぁ?』
「ハァ?」
ポツリと呟く千里に、眉をしかめた。
『…だって、いつまで経っても迎えに来てくれないんだよ?
夢でさえも、逢いに来てくれないんだ…。』
「―――ッ!」
『…あっちで可愛い子みつけたのかなぁ…。』
悲しそうに窓の外を見つめる千里に、俺は何も声を掛けることが出来なかった。
俺には、“そんなことない”とも、“きっとそうだ”とも言えなかった。
「…迎えに…来て欲しい…?」
そして、恐る恐る聞いた。
『…わかんない…』
千里の言葉は、たったそれだけ。
「…俺、何も難しいことは言ってねぇだろ?
飯食えば、何も言わねぇよ…。」
ホントは、ちょっとだけ嘘だ。
隼人さんの思い出だって、取り払ってしまえば良いんだ。
『…ごめん…。』
口を尖らせた千里が、小さく呟く。
その言葉に一つため息をつき、言葉を続けた。
「…心配さすなって、何回も言ったろ?」
『…うん、ごめん…。』
相変わらず、こんな調子だ。
だけど俺は、“甘やかさない”と決めたんだ。
荒療治なのは、わかってる。
でも、俺の中では“もぉ一年”なんだよ。
『…隼人、あたしのこと嫌いになっちゃったのかなぁ?』
「ハァ?」
ポツリと呟く千里に、眉をしかめた。
『…だって、いつまで経っても迎えに来てくれないんだよ?
夢でさえも、逢いに来てくれないんだ…。』
「―――ッ!」
『…あっちで可愛い子みつけたのかなぁ…。』
悲しそうに窓の外を見つめる千里に、俺は何も声を掛けることが出来なかった。
俺には、“そんなことない”とも、“きっとそうだ”とも言えなかった。
「…迎えに…来て欲しい…?」
そして、恐る恐る聞いた。
『…わかんない…』
千里の言葉は、たったそれだけ。