粉雪2-sleeping beauty-
―――飯だけ食って、千里のマンションまで送り届けた。


『マツ!
あたしのあげたヤツ、ちゃんと着けてね?!』



いやいや、イキナリ着けてたら恥ずかしいだろ?


てゆーか、喜んでるのバレバレじゃん?


だからなのか、俺は未だにキリストロザリオを箱から出していなかった。



「…わかってるって!」


ため息をつき、ドアを閉める千里の後ろ姿を見送った。




そして携帯を取り出し、電話帳から一人の女を選び出した。



―プルルルル、プルルルル…

『は~い♪』


うそ臭いほどの甲高い声に、虫唾が走りそうになる。



「…お前、今から出て来いよ。」


『え?でも…』


戸惑う声に、怒りを押し殺した。



「出て来いっつったろ?
今度、同伴して高いの入れてやるから!」


『…うん、わかった…。』


返事を聞き、電話を切った。


そして、女の家に車を走らせた。



こーゆー日は、とにかくイラついて仕方がない。


抱きたいのに、抱けない…。


俺のものにしたいのに、俺のものにならない。



結局、千里の身代わりばかりが増えて行く。


俺だって本当は、こんなことしたくねぇよ。


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