粉雪2-sleeping beauty-
『…ホントに同伴してくれるんでしょ?』


「…てめぇ、あんまりしつこいと殴るぞ?』


煙草を咥え、顔を覗き込んで聞いてくる女を睨み付けた。



『…松本さん、怖いよ…。
アンナには“優しくする”って言ったじゃん…!』



…そりゃ誰だって、ヤろうと思えば優しいこと言うだろ…。


やっぱ馬鹿だな、コイツ…。



「…じゃあ今度な。」


勢い良く煙草を灰皿に押し当てた。



『…でもアンナ、松本さんのそーゆートコ好きだよ?』


「…何言ってんだよ。」



あぁもぉ、大馬鹿すぎて付き合いきれねぇ。


自分が他の女の身代わりだって、気付かないのか?



『…松本さんのこと、好きになっちゃいそう…。』


最終的に、抱きつかれた。



店に来させるためなのか本心なのかはわからないが、そんなのどーだって良い。


俺はコイツに、何の感情もない。


むしろ、嫌悪感さえ抱いているのに。



「離れろよ、ウゼェから。」


吐き捨てるように言い、財布から万札3枚を取り出して投げ捨てた。



「好きなんだったら、何も言わずに待ってろよ。
気が向いたら、また連絡してやるから。」


『―――ッ!』


それだけ言い、上着を持って部屋を出た。



『待ってよ!
あたし、どーやって帰れば良いの?!』



…帰る足の心配してんじゃねぇよ…。


嘘ぐらい突き通せよ、クソアマが…!


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