粉雪2-sleeping beauty-
『俺からも、おめでとうございます!』


真鍋が千里に笑顔を向けた。



『ナベくん、ありがと♪』


そんな光景に一人で不貞腐れ、いつもの席に足を進めた。



『…てゆーかママ、いくつになったんすか?』


『22だよ?』


『えー?!』


アゴが外れそうなほど驚く真鍋と、その顔にキョトンとする千里。



『…若いとは思ってたけど、まさかそんな歳だったとは…。』


真鍋は“ありえない”とでも言った顔で、俺の隣に腰掛けた。



『女の子の歳聞いて驚くなんて、ナベくん失礼だよね!』


口を尖らせた千里が、俺達に酒を注いだ。



『…そんな若くて店持つなんて、パトロンでも居るんすか?(笑)』


「―――ッ!」


半分冗談の様に言う真鍋に、目を見開いた。



「オイ、真鍋!―――」


『そんなの居ないよ~!
あたしこれでも、資産家の令嬢なの♪』


俺の言葉を遮り、千里は真鍋に笑顔を向けた。



『あははっ!またまた~!』


そして、笑いあっている始末だ。



何かもぉ、一人で心配している俺は、馬鹿みたいで。


ただ何も言わず、酒を飲み続けた。




< 58 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop