粉雪2-sleeping beauty-
「―――千里!
酒なんか、出すんじゃねぇ!」


割って入った千里の肩を引き寄せるように鷲掴み、睨み付けた。


そして河本に向き直り、言葉を続けた。



「…悪いけど、帰って貰えませんか?
何でアンタがココに居るのかは知りませんけど、俺らはもぉ、アンタとは何の関係もねぇはずだ。」


怒りを押し殺し、今度はゆっくりと言った。



『…別に、てめぇに会いに来たわけじゃねぇよ。』


河本は煙草を取り出し、ヤル気なく俺から視線を外した。


その行動に、馬鹿にされているようにさえ感じる。



『…じゃあわざわざ、あたしに会いに来たんですね。』


ため息をついた千里は、髪をかき上げた。



「オイ、やめろ!千里!!」



何で挑発するようなこと言うんだよ?!


千里にさえ、怒りを覚える。



「…すっかりアンタも、四代目が板についてますね。
先代殺した黒幕のアンタが、ぬけぬけと組長張っちゃって。」


鼻で笑った。



『…オイオイ、松本!
適当なこと言ってんじゃねぇぞ?
証拠がねぇだろ!』


こちらに向かって煙を吐き出した河本は、汚い顔を近づけた。



「…大体、一人で散歩してて良いんですか?
アンタ狙ってる人間、前より増えたでしょ?」


『…そのうちの一人は、去年死んだがな…。』


「―――ッ!」


その瞬間、俺の中の何かがキレた。


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