粉雪2-sleeping beauty-
『…どーしてこう、良い女ってのはすぐに男が出来るかねぇ。
お穣ちゃんもすっかり、松本の女ってわけか。』
『―――ッ!』
何かを振り切るように唇を噛み締めた千里は、
目を閉じるようにして目線を下げ、言葉を発した。
『マツは最高の男だよ!
すぐに隼人なんか、追い越すだろうね!』
「―――ッ!」
河本を睨みつける千里に、言葉が出なかった。
『…そりゃあ、意外だなぁ…。
松本は、小林よりも良いのか?』
『―――ッ!』
瞬間、千里の目が泳いだ。
唇を噛み締め、そのまま押し黙ってしまった。
…もぉ良いよ、千里…。
お前のハッタリは、十分だよ…。
悲しいやら悔しいやらで、俺は何も言えなかったんだ。
ポケットから煙草を取り出し、火をつけてゆっくりと吸い込み、吐き出した。
「…頼みますよ、河本さん…。
今日は、帰ってください…。」
『ハッ!仕方ねぇなぁ。
松本もすっかり、牙が抜けちまって…。』
哀れむような目で見られ、河本はポケットから一枚の名刺を取り出した。
『…まぁ、気が変わったら、いつでも連絡して来いよ。』
そして言いながら、名刺をテーブルに置いた。
『…この街仕切ってる興亜会とは、先代から色々と付き合いがあってな…。
そしたらうちの若ぇのが、お穣ちゃん見つけて知らせてきてな?
俺も、さすがに泡食ったぜ。』
立ち上がり、俺の肩を二度叩いて、ゆっくりと店を出た。
『…また来てやるから、今度は酒くらい出せよ?』
最初から最後まで薄ら笑いを浮かべたまま―――…
お穣ちゃんもすっかり、松本の女ってわけか。』
『―――ッ!』
何かを振り切るように唇を噛み締めた千里は、
目を閉じるようにして目線を下げ、言葉を発した。
『マツは最高の男だよ!
すぐに隼人なんか、追い越すだろうね!』
「―――ッ!」
河本を睨みつける千里に、言葉が出なかった。
『…そりゃあ、意外だなぁ…。
松本は、小林よりも良いのか?』
『―――ッ!』
瞬間、千里の目が泳いだ。
唇を噛み締め、そのまま押し黙ってしまった。
…もぉ良いよ、千里…。
お前のハッタリは、十分だよ…。
悲しいやら悔しいやらで、俺は何も言えなかったんだ。
ポケットから煙草を取り出し、火をつけてゆっくりと吸い込み、吐き出した。
「…頼みますよ、河本さん…。
今日は、帰ってください…。」
『ハッ!仕方ねぇなぁ。
松本もすっかり、牙が抜けちまって…。』
哀れむような目で見られ、河本はポケットから一枚の名刺を取り出した。
『…まぁ、気が変わったら、いつでも連絡して来いよ。』
そして言いながら、名刺をテーブルに置いた。
『…この街仕切ってる興亜会とは、先代から色々と付き合いがあってな…。
そしたらうちの若ぇのが、お穣ちゃん見つけて知らせてきてな?
俺も、さすがに泡食ったぜ。』
立ち上がり、俺の肩を二度叩いて、ゆっくりと店を出た。
『…また来てやるから、今度は酒くらい出せよ?』
最初から最後まで薄ら笑いを浮かべたまま―――…