粉雪2-sleeping beauty-
「…お前ら、とりあえず今日は、帰ってくれねぇか?」
『―――ッ!』
俺の言葉に、真鍋は怒りを押し殺したような顔で店を後にした。
ドアに付けられた鐘が、カランッと大きな音を立てる。
『…ルミも…帰る…。』
その姿を見送った後、ルミもゆっくりと口を開いた。
何も言わずに奥から荷物を持ってきて、俺達の方を見ずに店を後にした。
次第に足音が遠ざかり、反比例するように千里の嗚咽が大きくなっていった。
その泣き声を聞いていると、胸が苦しくなる。
“何でいっつも千里が傷つくんだろう”って…。
「…なぁ、千里…。
逃げるか…?」
『…何…言ってんの…?!』
千里は涙をイッパイ溜めた大きな目を、こちらに見開いた。
「…どっかまた、別の街に行ってさぁ…。」
『出来る訳ないじゃん!』
涙を拭いた千里が、唇を噛み締めてこちらに歩み寄ってきた。
『アンタ、会社どーすんのよ?!
仮にも代表張ってんでしょ?!
アンタがそんなんじゃ、誰もついてこないよ!』
肩で息をしながら捲くし立てる千里から、目線を外した。
『…大体、隼人どーすんのよ?!
あたしは、この街で暮らすって決めたんだよ!
何も悪いことしてないのに、何で逃げなきゃいけないの?!』
「…でも、また河本は来るぜ?」
『―――ッ!』
千里は再び唇を噛み締め、押し黙った。
『―――ッ!』
俺の言葉に、真鍋は怒りを押し殺したような顔で店を後にした。
ドアに付けられた鐘が、カランッと大きな音を立てる。
『…ルミも…帰る…。』
その姿を見送った後、ルミもゆっくりと口を開いた。
何も言わずに奥から荷物を持ってきて、俺達の方を見ずに店を後にした。
次第に足音が遠ざかり、反比例するように千里の嗚咽が大きくなっていった。
その泣き声を聞いていると、胸が苦しくなる。
“何でいっつも千里が傷つくんだろう”って…。
「…なぁ、千里…。
逃げるか…?」
『…何…言ってんの…?!』
千里は涙をイッパイ溜めた大きな目を、こちらに見開いた。
「…どっかまた、別の街に行ってさぁ…。」
『出来る訳ないじゃん!』
涙を拭いた千里が、唇を噛み締めてこちらに歩み寄ってきた。
『アンタ、会社どーすんのよ?!
仮にも代表張ってんでしょ?!
アンタがそんなんじゃ、誰もついてこないよ!』
肩で息をしながら捲くし立てる千里から、目線を外した。
『…大体、隼人どーすんのよ?!
あたしは、この街で暮らすって決めたんだよ!
何も悪いことしてないのに、何で逃げなきゃいけないの?!』
「…でも、また河本は来るぜ?」
『―――ッ!』
千里は再び唇を噛み締め、押し黙った。