粉雪2-sleeping beauty-
『…お前なら少なくとも、俺よりはアイツを幸せに出来るんだろうな…。』



こんなことまで言い出す始末だよ。


“じゃあ、別れろよ!”って言ってやりたかった。


ムカついて、ブン殴ってやりたかった。



「幸せにしてやれよ!
アンタの手で!!」



俺が言ったことは、間違いだったのかな?



やっぱり俺が止めてれば…


別れさせてれば良かった…?




『…マツの所為じゃないよ…。』



お前、いっつもそればっかだったよな。


俺の所為にして、俺に怒鳴り散らせば良かったんだよ。


なのにお前は、それをしなかった。




最期の前の日の晩、全部が終わってあの人、俺に紙袋手渡したんだよ。


それが、お前にあげた指輪と手紙の入った紙袋だよ。




『…世話になったな、マツ…。』



あの人は、覚悟を決めていた。



『…俺、やっぱアイツのことお前には渡す気ねぇから。
俺自身の手で幸せにしてやりたいと思ってる。』



そんなこと、わかってるよ。


だって俺は、お前らが二人で幸せになることを望んだ人間だから。



『…自信はねぇけどさ、俺にはアイツが必要なんだ…。
あんなことしたのに、許してもらおうなんて思ってねぇ…。
でも、それでもアイツが俺と生きる道を選んでくれたら、俺は堅気になって、一生アイツを守ろうと思う…。』



前にも話したけど、まぁ、こんなクサいこと言ってたんだわ。


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