粉雪2-sleeping beauty-
―ガチャ…

スウェットのズボンだけ履き、頭からタオルを掛けて部屋に戻った。


見ると千里は、相変わらずキッチンで何かをしていた。




『マツ―――!』


振り返って俺を見た瞬間、千里は目を見開いた。



『刺青凄いね~!』


そう言って、俺の元に近づいてきた。



「…あぁ…」


背中に回り込んだ千里に、緊張が走る。



『背中だけなんだ~。』


俺の背中を這う細く冷たい指に、心臓が再び音を立てた。



『ホントに虎だね♪』


「―――ッ!」


笑顔を向けられ、逃げるように煙草を取りに向かう。


ソファーに深々と腰を下ろし、咥えた煙草に火をつけた。




「…お前、怖くねぇの?」


『何が怖いの?』


不思議な顔を向けられた。



『…別に、今更マツなんか怖くないよ。』


「…あっそ。」


少し不貞腐れたように俺は、煙を吐き出した。


先ほどの千里の指の感触が、未だに背中に残ったままだ。


その場所から、俺の欲望が溢れ出してしまいそうになる。



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